トッカグンとの遭遇。

僕は陸も海も空も辞めたダメ元自衛官

コイツ何言ってんだ?!

 海上自衛隊の教育隊には「分隊士(ぶんたいし)」と呼ばれる方がいた。
 気むずかしい雰囲気を出しており、絶対に怒らせてはいけないと教えられていた。
 教育隊でのある日、僕たちが整列している中、分隊士がこんなことを言って来た。
 「昨日、私の住んでいる地域で断水を行うと連絡があった。その知らせを聞き、すぐにホームセンターで家族が不自由しないだけの水が確保できるように大量のタンクを購入し、膨大な水をタンクに保管してあった。これだけの水を貯めていれば問題ないだろうと安心していた。そして断水の時間帯を迎えた訳だが、お知らせのあった断水の時間帯になっても、蛇口からいくらでも水が出て来た。結局断水なんて関係なく、いつも通りに水は使えたのだ。」
 そして最後にこうも続けて言って来た。
 「私のタンク購入や、水の補充と言った作業は、全て無駄だったと言うことだ!このやり場の無い怒りをどうすれば良いのか?!考えた結果…キミたちにぶつけることにした!!」
 こいつ何言ってんだ?!
 その場にいた全員がそう思ったはずだ。
 結果、僕らは全員汗だくになり、腕が上がらなくなるまで腕立て伏せをさせられたのだった。