調子に乗った精密分解。
銃は、もちろん海上自衛隊でも使用する。
当時海自の教育隊で使われていた銃は、陸自の教育隊で使用していた64式小銃だった。
教官は、全員に対して1から分解と結合を教えてくれたのだが…
なんと時間制限なし、談話しながらの至ってゆるい時間の使い方だった。
陸自との違いに唖然としたが、さらに追い打ちをかけるようなことが判明した。
陸自では、ものの見事に全分解していたのだが、海自では、その半分程度しか分解しないのである。
そんな中、ぼくは調子に乗ってしまった。
海自では教わっていないが、陸自で教わった分解を同期の前でやっていると、教官に見つかった。
とっさに、怒られると思ったら、むしろ教官は感心した様子で
「なんだ?お前、精密分解できるのか?」
と言ってきた。
精密分解?初めて聞く言葉だった。
なんにせよ、ほとんどの同期が自衛隊は初めてだと言うのに、時折見せる僕のお調子に乗った行動に、同期の中で僕が元陸上自衛隊と言う噂が広まっていったのである。