トッカグンとの遭遇。

僕は陸も海も空も辞めたダメ元自衛官

いじめの3原則

 教育隊の生活にある程度なれてきた頃、その影は、徐々に表面化してきた。
 「いじめ」だ。
 海上自衛隊の教育隊で「探知の3原則」と言うものがあったと思う。
 その3原則の内容とは、じっくりと、繰り返して、後1つは忘れてしまった。
 その探知の3原則を、そっくりそのまま言葉を変えて、「いじめの3原則」なんて冗談まじりに話しをしていたのを覚えている。
 僕の班で、いじめはあった。
 ターゲットは外見がやる気のないお地蔵さんと比喩されていた。
 悪いが、本当にしっくりとくる外見表現だと思ってしまった。
 その隊員の父親は自衛隊であり厳格な方である。 
 親父にすすめられ入隊したとのことだった。
 同じ班のその隊員は、ことあるごとに班の足を引っ張ってきた存在だった。
 なにをしても人より不器用、性格もかなり内向的な部分があり、班の中で調和を乱すことも珍しくなかった。
 本人は辞めたい気持ちがあったようだが、親父に辞めたことが知れたら…と言う恐怖感が強かったらしく、不本意ながら我慢して続けていると言った様子が容易に見てとれる程であった。
 班員からは暴力をふられ、上官には目をつけられ、四面楚歌の状態もあったのだ。