トッカグンとの遭遇。

僕は陸も海も空も辞めたダメ元自衛官

区隊長による見送り。

 退職手続きが終わり、駐屯地から出るところまで区隊長が案内をしてくれた。
 区隊長は本当に良くできた人だった。
 退職の話しを切り出し、方向として退職が確定した時は
 「退職が決まったからには、お前たちがスムーズに退職できるように俺も全力で支援するからな!」
 と言ってくれた。
 退職が決まってからも、僕たちをないがしろにすることなく、様々なことで気を遣ってくれていたと思う。
 とうとう営門まで来た。
 僕ら2人の退職者は、門を一歩でれば「民間人」に戻る。
 その時、区隊長がこんなことを言ってくれたのを覚えている。
 「ここで数ヵ月持ちこたえ培った精神力があれば、この先、大抵のことは乗り越えることができる。自信を持って良いぞ。」
 と言うような言葉だった。
 最後の最後に、もうすることがなくなるであろう「敬礼」をして僕らは駐屯地を出た。
 なにか手足につけた重りを外したような気分だった。