トッカグンとの遭遇。

僕は陸も海も空も辞めたダメ元自衛官

レンジャーになりたいか?

 レンジャー部隊。それは言わずと知れた日本の陸上自衛隊の特殊部隊である。
 ちなみに、教育隊ではレンジャーに行きたいかどうかなんて本人の希望は無視され、適正のありそうな隊員を集めて、「レンジャー適正試験」とでも呼ぼうか…まあ。そんなニュアンスの試験がある日実施された。
 同期で区隊の隊員が数名選ばれ、試験を受けさせられたのだ。
 試験日は、あいにくの雨。
 試験の途中。
 背中に銃を背負い、懸垂する光景が見えた。雨で手は滑りやすくなっている上に、武装しての懸垂。
 見ているだけで辛くなった。
 そして試験官である上官から怒号が飛び交う。
 「お前らのレンジャーになりたい気持ちは、そんなもんか!?」
 当時同じ班に在籍し、レンジャー適正試験を受けさせられていた隊員は、心の中で、こう叫んだらしい。
 「好きでレンジャー適正試験受けてる訳じゃねぇ!!」