ある年の3月…
パッパラッパラッパラッパラッパパー!
いかにも軍隊らしい放送の起床ラッパ音に、目が覚めた。
まだ眠気がある中、もぞもぞしながら、ベットから起き上がる。
ん?…あっ。そうだよな。
僕は、自衛隊に来ていたんだった。
そんな感覚で迎えた朝だった。
教育隊に着隊して間もない僕らは、学生気分。
修学旅行の様な感覚だった。
正規の自衛官としての手続きが終わっていない僕らは、手続きが終わるその日まで、言ってみれば、食っては、寝る。と言った堕落生活を強いられた。
正規の自衛官と書式上認定されるまで、手続きやらなにやらで、数日は修学旅行気分だった。
とは言え、本当に食べるだけ。寝るだけかと言うと、正確には少しだけ違った。
そう。1日の大半の時間を裁縫にかけていたのだ。